こおりやま広域圏PRプロジェクト BONDS 17AREA

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郡山市PR大使
#11 SG
TSUBASA
YAMAUCHI
山内 翼

美しい水と実りがあふれる郡山市。しかし江戸時代までは水資源が乏しく、枯渇した原野が広がっていました。人々は水を巡って争い、雨乞いや豊作の願いを込めた花火を打ち上げ、天に祈りを捧げていたと言います。明治維新後、この不毛の地である安積原野に恵みの水をもたらしたのが、天鏡湖と呼ばれる「猪苗代湖」から水を引く「安積開拓・安積疏水開さく事業」でした。西に連なる奥羽山脈を突き抜け「一本の水路」によって潤った原野は米や鯉など食文化を豊かにし、さらには水力発電により紡績等の新たな産業の発展をもたらしました。安積開拓・安積疏水開さく事業によって完成した「一本の水路」は、まさに近代郡山の礎となっているのです。

今回は、郡山市PR大使を務める福島ファイヤーボンズの山内翼選手(郡山市出身)が、近代郡山の礎となった「一本の水路」を巡る旅に出ます。

明治5(1872)年、県令として着任した安場保和が旧米沢藩士の中條政恒を県典事に任命し、安積開拓が始まりました。翌明治6(1873)年、中條の「各富豪なりと雖も、邑(村)のため、国のため尽す所なくんば、守銭奴の侮辱まぬがるべからず」という言葉に、地元富商たちは呼応し「開成社」を結成。「開成館」はその拠点となったのです。 安積開拓の核となる「福島県開拓掛」が置かれた建物は、現在は安積開拓と安積疏水開さくの歴史や、当時の資料を展示する「郡山市開成館」として残っています。

山内選手が訪れたのは、郡山市開成館の敷地内にある「安積開拓官舎(旧立岩一郎邸)」。喧騒と離れ静かに佇むこの建物は、開成館と同時期に建てられました。開拓掛職員の立岩一郎の住宅として使用され、板葺きの屋根や漆喰の壁、囲炉裏などが当時のまま保存されています。狭く急な階段を上り2階へ。6畳ほどの部屋にある障子を開けると辺りが一望できます。安積開拓に尽力した立岩一郎は、ここからどんな思いで郡山の地を眺めたのでしょうか。

開成館・安積開拓官舎
  • 住所:郡山市開成三丁目3番7号 (MAP)
  • TEL:024-923-2157
  • 営業:10:00〜17:00 (休:毎月・年末年始 月曜が祝日の時は翌日)※開成館は現在改修中です
  • Web:https://www.bunka-manabi.or.jp/kaiseikan/

次に訪れたのは開成山大神宮。安積開拓、安積疏水の開さくに携わった多くの人々の心の拠り所として設置されました。もともとは御神体の無い神社として置かれていましたが、明治8(1875)年に本殿と拝殿が造営され、明治9(1876)年には、伊勢神宮からの御分霊を祀り、奉遷の儀式が行われ、「開成山大神宮」と敬称されました。明治15(1882)年8月には安積疏水の通水式が催され、当時の政府高官や県官、開成社員、各開墾社員、各村関係者などが多数出席し、通水を祝いました。毎年、福島ファイヤーボンズの一員としてシーズンの必勝祈願に訪れる山内選手も、二礼二拍手一礼の作法に則り参拝。現在でも「東北のお伊勢さま」と呼ばれる開成山大神宮は、郡山市民の心の拠り所となっており、多くの参拝者が訪れます。

開成山大神宮

街の中心から西に移動してやってきたのは、のどかな田園が広がる三穂田町。ここには「大谷1号水路橋」があります。猪苗代湖の水を安積原野まで流すこの水路橋は、三穂田町大谷地区を東西に走り郡山市を肥沃な大地に変え、今日の発展に大きな役割を果たしました。およそ800mの水路橋は、辺りの水田を潤し、稲を育て、黄金色の実りをもたらします。この景色はまさに開拓者が築き上げた安積疏水によってもたらされたといっても過言ではありません。

大谷1号水路橋
  • 住所:郡山市三穂田町大谷西向
  • TEL:024-922-4595(安積疏水土地改良区)

安積疏水がもたらした田園風景を見た山内選手。その恵みであるお米が食べたいとやってきたのは、郡山駅前の飲食店「夢一膳」。こちらでは福島県産の食材をふんだんに使ったランチ、夜は自慢の料理と福島の全蔵元の地酒を楽しむことができます。いただいたのは、お店オススメのランチメニュー、「鶏唐揚げ定食」と「会津ソースカツ丼定食」。どちらもボリューム満点です。おかずのおいしさはもちろんですが、何といっても郡山市のブランド米「あさか舞」のご飯は絶品!ふっくら艶やかなお米は甘みや香りが際立ち、舌触りや歯ごたえも抜群で、ご飯だけでもおいしい逸品。安積疏水によりもたらされた清らかな水とお米作りに最適な気候や土壌で育まれたあさか舞は、開拓者の想いを引き継ぐ、生産者たちの誇りが込められています。

夢一膳
  • 住所:郡山市駅前1-4-3 SSポートビル1F (MAP)
  • TEL:024-934-8236
  • 営業:ランチ月〜土11:30〜14:30
    ディナー月〜土17:00〜23:00 祝17:00〜23:00
  • Web:https://yume1zen.gorp.jp

この旅の最後に訪れたのは、帝京安積高等学校の和太鼓部が練習する教室。放課後の校舎に鳴り響く太鼓の音。教室に近づくほどに音が大きくなり、足元からビリビリと振動が伝わってきます。練習の様子を覗き込んだ山内選手。その瞬間、部員たちの手が止まり「こんにちは!」という元気な挨拶で迎えてくれました。帝京安積高等学校の和太鼓部は創部24年で、主要な全国大会において4度の優勝を誇る全国屈指の強豪。その活動は郡山市の「一本の水路ブランド認証※」を受けています。顧問の坂本雄一先生は「現在、部員は28名。ほとんどの部員が和太鼓の未経験者。まったくの素人が日本一を目指すなんてドラマチックでしょ」と笑います。和太鼓は指揮者がいません。その分、全員でしっかり音を揃えるのが難しいと言います。しかし「音が揃った時の達成感が和太鼓の魅力」と坂本先生。

部員たちの練習を見守る山内選手に坂本先生から「一緒にやってみませんか」との提案が。山内選手は「いや初めてだし、リズム感もないので…」と逃げ腰気味に答えますが、部員たちは合奏を待ちきれない様子。 初めての和太鼓体験。おっかなびっくり太鼓を打つ山内選手。しかしそこはプロアスリート。コツをつかむと驚くほどばち捌きが上達! かなり慣れてきた山内選手は部員たちと合奏をすることに。静寂を破る掛け声と共にテンポよく打たれる太鼓の音。全員真剣な眼差しで曲もいよいよクライマックスへ。最後の一打もドンと決まり、全員が拍手!「この一体感は堪らない」と山内選手も打ち終え安堵の笑顔。 入部当時は初心者だった部員たち。目標を成し遂げようとするその姿は、安積開拓に励んだ開拓者そのもの。時を超え、若者たちにフロンティアスピリッツが受け継がれています。

帝京安積高等学校

※「一本の水路ブランド認証」とは
日本遺産「一本の水路」プロモーション協議会では、平成28年に文化庁の日本遺産に認定された「未来を拓いた『一本の水路』ー大久保利通“最期の夢”と開拓者の軌跡 郡山・猪苗代ー」のストーリーにおける「挑戦」「多様性」「共生」のイメージに深く関連付けられる優れた産品や優れた活動を行っている団体等を開拓者精神の象徴としてブランド認証しています。これまで、郡山産ブランド米である「あさか舞」や安積疏水の清らかな水を利用して養殖が盛んになった「鯉」を使用した商品、そして帝京安積高等学校の和太鼓部などが認定されています。